流域まちづくりとは?

流域まちづくりは、都市を流域視点から捉え直し、エリア(コミュニティ)スケールでの小流域単位特定により、地域主体の協働・共創のボトムアップ・アプローチを通して、水防災および地域価値向上に寄与するまちづくりを推進する方法論です。

以下の8つのステップで推進します。

① ターゲットとする水害リスクとエリアスケールの小流域単位の特定
② グリーンインフラを推進するステークホルダーとしての地域主体の把握
③ ①、②を踏まえた、推進モデルエリアとグリーンインフラポテンシャルの抽出
④ 水害等の抑制と地域の魅力向上に資するグリーンインフラの計画・デザイン
⑤ 地域主体とのワークショップ等協働を通したグリーンインフラの実装
⑥ グリーンインフラの持続的な維持管理体制の構築
⑦ グリーンインフラの定量的な効果測定
⑧ プロジェクト連携による、より大きな流域への波及効果の形成

Case1

吉祥寺北町における内水氾濫地点に対して、DEMデータ(数値標高データ)を用いた表流水の流路・小流域の分析および下水道流域の分析を経て、分散型GI による流出抑制が有効な小流域エリアを特定しました。また、ステークホルダー調査を行い、大学、市民団体等の協働可能な地域主体を特定しました。

以上の調査分析に基づき、グリーンインフラ推進モデルエリアを設定し、公園、学校、公共施設等の公共空間と民地におけるグリーンインフラのポテンシャルを抽出しました。その上で、エリア内の内水氾濫地点に近いみやび青葉公園において、公園内表流水を側溝流入前にキャッチする雨庭を計画・デザインし、市民協働ワークショップで施工を行いました。

また、施工前後の雨庭内水位、側溝流量の測定により、流出抑制効果を流出率の変化として把握しました。さらに、市全域の公共空間におけるグリーンインフラ ポテンシャルを抽出の上、優先順位付けと導入手法検討を行い、市域におけるGI 展開を検討しました。現在は雨庭の維持管理体制構築に向け、維持管理活動に協力しています。

①北町小流域コミュニティ治水モデルエリアと表流水、下水道流路・小流域の重ね合わせ
②みやび青葉公園の地形と雨庭設置位置
③雨庭づくりワークショップの実施風景
④園内側溝前で表流水をキャッチし、踏圧に耐え、動線を妨げない表面植栽型の雨庭

Case2

令和6年度には、ステークホルダー調査を通して、市域でグリーンインフラの主体的な担い手となりうるターゲットとして、造園事業者等(八王子造園業組合、公園指定管理者)と市民ガーデナー(市のガーデナー養成講座卒業生・グリーンパートナー)を特定。また、市域全域でGISによる小流域分析を行った上で、市へ寄せられた流出被害の要望相談データ等を重ね合わせたGI ポテンシャル調査を行い、雨庭モデル地区と雨庭実施候補地を抽出しました。

以上の調査分析を踏まえ、富士森公園においてターゲットに向けた雨庭(レインガーデン)づくりワークショップを実施。雨庭のデザインは、公園内道路から一般道への流出をキャッチするものや、斜面の土壌流出を抑制するものなど公園の様々な流出課題に対応する内容としました。また、市民・民間主体による自走運営が可能な取組体制を検討しました。

令和7年度には、施工した雨庭の維持管理を学ぶ市民ガーデナー向けの植栽ワークショップと、長池公園内園路の泥水流出抑制を行う雨庭づくりを通して雨庭(レインガーデン)の計画技術と施工技術を学ぶ造園事業者向けのワークショップを実施し、主体形成をさらに深化させています。

①小流域分析、流出被害、ステークホルダー調査を踏まえた雨庭モデル地区の抽出
②長池公園の雨庭Bのデザイン(貯留・浸透による流出抑制量は合計2.88m3)
③富士森公園の雨庭(縁石切り欠きにより道路から導水)
④レインガーデン植栽管理ワークショップ実施風景

Case3

東陽町における表流水の小流域界、流路をGISで分析し、浸水ハザードマップとの重ね合わせにより、下流部の浸水リスクを抑制する小流域を特定し、民間企業が推進主体となるグリーンインフラ推進エリアを設定しました。一方、東陽町・新砂エリアは、大型事務所ビルが集積する反面、滞留空間が少なく親水空間(汐浜運河)まで駅から歩行距離が長いという課題がありました。

そこで、推進エリア内の東陽町駅から汐浜運河までの街区にグリーンインフラと滞留空間を連続させ、ウォーカブルなまちづくりを推進することを検討しました。具体的な展開として、竹中工務店の駐車場の流出抑制を行うレインガーデンを計画し、近隣ワーカーたちのランチ時休憩スペースなどの滞留拠点「リビングハブ」としても機能するように位置づけました。

レインガーデンは、駐車場のアスファルト舗装から集水されるU字側溝をコア抜きし、隣接植栽地に導水する仕様としました。試験用小型レインガーデンを設置し、降雨時に流出測定を行い浸透貯留量を検証し、設計諸元を導きました。

さらに隣接する提供公園、水辺空間にて継続的な生物・環境調査および周辺ステークホルダーの意見を踏まえた上で、まちづくりと連携したGIビジョンづくりを行っています。

①東陽町の小流域分析とハザードマップの重ね合わせ
②東陽町駅から水辺までのグリーンインフラ配置イメージ
③駐車場舗装面から集水する側溝に穴を穿ち、植栽地へ導水するレインガーデン
④雨をキャッチしつつ、滞留空間を生み出すベンチ