代表について

滝澤恭平
株式会社ハビタ代表取締役。ランドスケーププランナー。博士(工学)。
1975年生まれ。大阪大学人間科学部卒業。角川書店に編集者として勤務後、2007年工学院大学建築学科卒業、ランドスケープデザイン事務所・愛植物設計事務所にランドスケープデザイナーとして勤務し、独立。2014年東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了、東北の海岸復旧事業の合意形成を研究。以降、九州大学大学院工学府都市環境システム専攻博士課程にて都市河川再生とグリーンインフラの研究を行う。博論は「都市の水辺再生における地域環境スチュワードシップと関与型水系基盤の計画・マネジメント」。2014年より国土交通省の河川利活用プロジェクト「ミズベリング・プロジェクト」ディレクター、2015年水辺総研を共同設立、環境再生と地域主体形成を目指し、全国の水辺のまちづくりや河川再生を精力的にサポート、主なプロジェクトにJR東日本竹芝ウォーターフロントプロジェクト、横浜市帷子川はまっこアユ遡上プロジェクト(多自然川づくり)などグリーンインフラ、水辺の計画デザイン、管理運営の実績多数。2023年株式会社ハビタ設立。国士舘大学非常勤講師、東京工業大学非常勤講師。著書に、雑誌ソトコト連載の単行本化『ハビタ・ランドスケープ』(木楽舎)など。

メッセージ

グリーンインフラは、楽しい。地域に生きる人びとたちが現場で出会い、課題を共有し、自分たちが生きる自然・社会環境を少しづつお世話・ケアしながら、棲みやすいいい場所にしていくこと。お世話という作業自体も実は楽しい。自分の身体を動かしながら植物や水、土や風などの自然の反応にレスポンスし、現場で周囲の人びとと学びを共有し、お世話仲間となる。結果的に、コミュニティの資産としての場所が地域に生まれ育っていく。地域の人たちが各自のペースで自然のお世話をしているうちに、治水や生態系、ウエルビーイング、教育など、複数の重層的な恩恵を地域に棲む人びとに及ぼすようになる。様々な地域でグリーンインフラに関係する実践を続けるうちに、そんな回路が存在することを認識しました。このボトムアップなサイクルを地域に広げることで、グリーンインフラや流域治水、気候変動適応&緩和など地域と地球を護る政策やアクションをより推進・加速できる、と考え起業しました。

地域の人びとと現場に立ち、その場所がよくなる戦略仮説を一緒に考える。仮説は、まず小さくやってみて、やりながら結果をモニタリングし修正していく。それらの小さな変化の重層による波及効果を、地域環境のマネジメントシステムとしてどのように成立させるか。そのようなことを様々な立場のステークホルダーと協働して実現すべく、プロジェクト伴走支援を行います。

『ハビタ・ランドスケープ』滝澤恭平(木楽舎刊)

我々の祖先は、どのようにランドスケープ(風景)を棲みこなしてきたのか。地域を歩き、そこに棲む人々のルーツを探る旅に出た、国内37箇所の風土を巡る物語。
日常にある風景の断片に潜む、思いもよらぬ物語と出会う瞬間がある。人が棲むために土地と関わり、自然と人為の相互作用の中で生まれてきた風景のなかで、我々はどのようにその地域を棲みこなしてきたのだろうか。本書は日本37箇所の地域を歩き、様々な場所の声を感じながら、生物の生息環境である「ハビタット」(habitat) と、人間が生息するランドスケープ(landscape)を紡ぎだす物語である。

まちづくりの探究者が人の棲む風景を味読すると、風土の実相が鮮やかに見えてきた。――東工大名誉教授 中村良夫(景観学者)

『ハビタ・ランドスケープ』の冒頭部分をこちらでお読みいただけます(木楽舎webサイト)