武蔵野市立みやび青葉公園の雨庭・レインガーデンの計画・デザイン

株式会社ハビタでは武蔵野市の「コミュニティ治水に貢献するグリーンインフラの調査検討WS支援業務」を委託し、市内の内水氾濫ポイントに近い「みやび青葉公園」にて雨庭・レインガーデンを設計し、ワークショップにて施工を行いました。本記事では、雨庭・レインガーデンの計画・デザインに関して紹介します。

公園の現状と雨庭候補地の選定

みやび青葉公園園内は北北東から南南西方向にゆるやかに下る微傾斜地であり、降雨時に園内で発生する表流水は、流末に設置された側溝で集水され、下水道に排水される。側溝は中〜大型で一部ダブル側溝が使用され、園内を横断している。園地の地表面は転圧され固められ、極めて浸透しにくい状況となっており、豪雨時には降雨の多くが表流水となり流出することが推測される。側溝の一部には流出による土砂の堆積も見られた。そのため、雨庭の計画・デザイン検討の方針として、側溝の流入直前の表流水流末に雨庭を設置し、表流水を受け止め、浸透貯留による流出抑制を行うこととした。側溝流末端の雨庭設置の候補箇所を下図に青色で表示する。候補箇所の中から、集水のしやすさや動線、タイプの異なる雨庭の設置可能性、ワークショップでの施工性を鑑み、地点A、地点Bの2箇所に設置することとした。

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雨庭候補箇所と選定地

選定された地点とデザインの方向性

・地点Aは、園内エッジの植栽地近傍にあり、人の通行は少ない。園内の土砂が流出し、側溝の上に堆積している。また、緑陰により日陰の時間は長い。
地点Aでは、表流水を側溝の流入直前で受け止め、土砂の流入も抑制することを狙う。また、隣接の民地住宅地とのバッファーゾーンとして、普段は人が入れないが、植栽が生きる場所をつくることは景観的にも生態系としても有用である。武蔵野の在来種を中心としたレインガーデンとし、近隣住民の関心と関与を引き付けるレインガーデンとする。

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地点Aの状況
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地点Aの雨庭・レインガーデンのデザインの方向性


・地点Bは、武蔵野の雑木林であるコナラ林が生える凸部の微地形に隣接し、流下する表流水を受け止めるダブルグレーチングの側溝、雨水桝が存在する。園内の動線上にあたり、踏圧圧力が強い場所である。
地点Bでは、表流水が側溝に流入する直前でキャッチし貯留しつつ、地表面には人の往来や活動を妨げない、踏圧に強い植栽を植え、通行と植栽地の共存を図る。流下する表流水をキャッチするため微地形に合わせた雨庭形状のデザインがポイントになる。

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地点Bの状況
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地点Bの雨庭・レインガーデンのデザインの方向性

それぞれの地点の浸透能を雨庭底面に近い地表30cm下部で測定したところ、地点Aの平均浸透能は276mm/hrであり、落葉樹林の浸透能200mm/hr以上に相当した。地点Bの平均浸透能は158.4mm/hrであり、常緑樹144mm/hrより少し高い程度に相当する。両地点とも雨庭としては良好な浸透を期待できる結果であった。本公園の地表面は締固めにより浸透しにくい状態であったが、表土の加工面を剥ぐと、地中には、武蔵野の関東ローム層の浸透能が高い黒土が分布していると考えることができる。

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地点Bの断面。表層は砕石も含み締固められ、下層に黒土が存在

雨庭・レインガーデンのデザイン

雨庭Aは敷地の端にあり、利用者の交通が少ないことから、窪地貯留とグリ石内空隙貯留を組み合わせたものとした。鉛直方向の浸透を促進するための竪穴も設置し、また、植栽根の発達による団粒構造の増加等の土壌改良による浸透能向上も目指すこととした。
植栽は、武蔵野の在来種で四季の花が楽しめる多年草(宿根草)を基本とし、冬でも葉の形を楽しめる常緑の園芸種をポイントに加える。混植により場所に適応するものが残ることを前提とし、半日陰的な環境に適していると考えられる植栽を選定する。タチツボスミレ、ミズヒキ、シュンラン、シロヨメナ、ヤブミョウガ、カンスゲ、ツワブキ、アカンサス・モリス等を使用。

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みやび青葉公園雨庭Aのデザイン


雨庭Bは、公園利用者の動線上にあることから、下層のグリ石内空隙貯留を基本とし、上層は植栽基盤層として土壌を入れ、人の歩行や利用を妨げないものとした。鉛直方向の浸透を促進するための竪穴も設置し、また、植栽根の発達による団粒構造の増加等の土壌改良による浸透能向上も目指すこととした。
植栽は、園内の歩行導線上にあるため、踏圧に強いグランドカバーの宿根草(多年草)を基本としつつ、花が咲いたり冬の常緑等のアイキャッチになる種も加える。混植により、粗放的管理で環境に適応した植栽が残っていくのを基本とする。人が座ったりできる林の木陰のグリーンマットをイメージ。ノシバをベースに、キランソウ、カンスゲ、シロツメクサ、リシマキア・ミッドナイトサン、アジュガ等を使用。

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みやび青葉公園雨庭Bのデザイン

雨庭・レインガーデンの竣工

事前施工を2月5日に実施し、本施工を2月11日にワークショップで実施、また残施工を2月13日に経て竣工した。以下に竣工後の写真を示す。

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雨庭レインガーデンA
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雨庭レインガーデンA
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雨庭レインガーデンB
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雨庭レインガーデンB
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竣工後2か月の雨庭レインガーデンB

竣工後2か月の4月前半では、すっかり植栽も定着し、いい感じの木陰のグリーンマットが出来ているのが確認された。これから踏圧にどのように耐えているくかは経過観察が必要であるが、混植により1種類の植物だけでなく、複数のグランドカバーを仕込んでいるので、適応するものがうまく残っていくことを期待する。雨水を下水道流入前にキャッチしてゆっくりと武蔵野のローム層に戻しつつ、子どもたちや公園利用者の憩いの場としても持続することができれば幸いである。